TPPについて

私の見てる限りで、という話なのかも知れませんが、TPPの議論って実はほとんど進んでなくて、

  • そもそも農地法とか農協(&農林中金)とか農畜産業振興機構とか、既得権益を保護する仕組みが問題。TPPを利用してぶち壊そう(≒TPPとかでもなければぶち壊せない)
  • TPPとかやったら既存の仕組みが壊れちゃう。不景気のいま、そんなことしちゃだめでしょ

のような、なんちゅうかTPPの外側の議論が多いように見えます。

鎖国してもいけんじゃね?とか生産性落とせばいいんじゃね?とか言ってますけど、農政周りの既得権益とか農家の話を色々調べるにつれ、これはあかんよなと思います。終戦直後の食糧統制時代とそんなに変わってないのに驚きです。

農業はもっと工業化できると思います。家電組立製造業などは日本メーカーは壊滅状態ですが、そもそも

  • 新規参入が容易で(技術自体がそんなに難しくない)、
  • でもそれなりの販売ボリュームがあって(=新規参入したくなりやすい)、
  • しかもその製品が大して魅力がなければ(Apple製品のように差別化ができていなければ)、

どうしてもコスト競争になってしまいます。

なかでも家電、特にAV機器系は、世代交代が早いためいちいち機械化しても回収が難しく(=ある機種用の自動化ラインを作っても、ラインの開発費・構築費を回収する前にその機種が終わる)、人手のほうが融通が利く(=組立は人手主体になる)ので、人件費の安い方が勝ち、みたいな状況になります。

薄々は感じていますが、量産系製造業というのは、世界中の工業レベルが平衡状態に入るまでは人件費の安いところに流れる、ということではないかと思っています(熱が高いところから低いところに流れて平衡状態になる、ってのとおんなじですね)。「労働基準」「人権」のような問題が絡むと、その国・地域に工業知識・ノウハウが伝播したら工業レベルが上がる、という幸せなケースよりもさらに時間がかかる気がしますので、人件費が安い国が日本より他にいくらでもあるという状況は今後しばらくは続き、そのあいだ、量産系製造業で日本国内の工場が優位に立てる場面は少ないのではないかと思います。

となれば、国内の製造業は「職人技」に特化すべきではないでしょうか。 (おおまかに言えば、ですよ。ロボット化を進めてもいいかも知れません。ただ、機械化が難しいので人間を使う、という直近の状況を踏まえると、ロボット化に突っ込む余力はないのではないかという気はしてます)

農業は、耕作面積さえあればなんとかなるという代物ではなく、土・水・品種・気候にあった栽培方法など、様々なノウハウが高度に必要で、しかもそれらは土地ごとに違うので、「製造設備と人間を集めればOK」という量産系製造業よりは、やはり職人技です。

日本の農業は、職人技があれば関税がなくてもやっていけると思いますし、工業界も農業界と連携して欲しい(逆ですね、農業界が工業界の参入を許さないと)。不安定さや低収入が問題なら、積極的に工業界と連携すべきと思います。

ただ、農協とかをどうこうするにはどうしても今の選挙の仕組みでは「農協に逆らった方が負ける」みたいなところがあるので、中選挙区制に戻して欲しいところです。 (小選挙区制と中選挙区制、あるいは大選挙区制の話はまた別途)