経済成長に生産性向上が必要なのか

生産性向上で成長持続=改定戦略—競争力会議

安倍首相は「民間の投資とイノベーションを拡大していく。生産性を上げていくことが求められている」と述べ、日本経済が成長を続けるために、技術革新などを通じた生産性の向上が不可欠と強調。

これ、逆なんじゃないかなと常々思っています。

「経済成長」「競争力」「技術革新」のうち、生産性の向上で改善できるのは「競争力」だけで、技術革新は生産性の向上とは関係なくて、「経済成長」に至っては生産性が低い方がより改善するのではないかという気がしています。

Aさんが米を100持っているとして、Aさん自身では60しか消費しない。Aさんは米しか持ってない。Bさんが魚を100持っているとして、Bさん自身も同じく60しか消費しない。Bさんは魚しか持ってない。いずれも余りは腐っちゃう。 こういう場合にAさんの余りの米40とBさんの余りの魚40を交換すると、交換前よりAさんもBさんも幸せになる。 これが経済成長です。幸福感の増大というとちょっと違う意味にもなるので、お得度の増大といったほうが良いのかも知れませんが、とにかく交換すると前よりもいい状態になる。

いまの国内経済は生産性が高くて(あるいは生産性が低いものでも海外からの輸入品が安くて)供給力過剰な状態で、上の例で言うところのAさんが米を1,000,000,000,000持ってる、というような状態でしょう。Bさんにしてもせいぜい60しか要らないのに、みたいな。

Cさんも米が余ってて、とかなると、Aさんが40出してCさんが20出してるときはまだ良かったのに、Aさんが60出すとCさんはもう出せない。供給力に対して需要が足りないという状態です。この場合、Cさんは余ってる米を腐らせるしかありません。

需要の増え方よりも生産性を向上させると、どうしても価格は低下してデフレ傾向になりますし、余った供給力は行き場を失うので、失業します。国内人口は減っているので、需要は増えるどころか減っています。

生産性を低下させると、海外からの輸入品のほうが安いという状態になります。競争力が足りないわけです。 関税でブロックする、というのも1つの方法ですが、また別の方法では円安を圧倒的に進めるという方法もあります。

技術革新は、言うまでもなく生産性とはほとんど関係なく、安く作れるようになったからと言って新しいものは生まれませんし、品質が良くなったりもしません。

裏付けがあるわけではありませんが「エネルギーと国防を除けば、鎖国しても今の日本ならやっていける」と思っています。円安を1ドル=10,000円とかまで進めたら、石油はおそらく買えなくなり、日本の産業構造はだいぶん変わるのでしょう。リサイクルの技術は進むでしょうし、石油化学製品から木材や紙主体になり、林業もかなり再興するでしょう。火力発電には木炭を使うというようなこともあるでしょう。短期的には「モノを運ぶ」という商売にものすごく人手がかかるようになると思います。非化石燃料車の技術も進みます。現状では採算が取れないという理由で開発が進まない再生可能エネルギーは充分割に合うようになるでしょう。電気や熱を貯める技術も進むでしょう。 逆に輸出産業みたいなものはやっていけなくなります。ただし作っているモノが国内向けに意味があるものなら、輸出用主体から国内用主体に切り替えれば良いでしょう。

こんな風になれば、現在の円での預金・借金は実質相当目減りするでしょう。 高齢者は引退できない、ということになるとは思いますが、全体の生産性が下がれば、働ける余地も増えるでしょう。働かないとボケますし、介護・医療費の削減という意味でも良い影響があるんじゃないかと思います。

鎖国とは違って人や情報の行き来をシャットアウトはする必要ないと思います。 シャットアウトしてしまって再び東洋の神秘の国になる、というのも魅力的ではありますが、国防の面で難しさが増してしまいます。